米沢市歯科医師会

令和5年度 米沢市歯科医師会学術講演会

本会会員、鈴木拓君が講演。

令和6年2月17日(土)午後5時より「米沢市医師会館」講堂において令和5年度米沢市歯科医師会学術講演会が開催されました。本会会員26名、西村山地区歯科医師会より1名、舟山病院より3名、三友堂病院より3名、米沢市立病院より1名が参加しました。満田隆之学術担当理事が司会を務め、渡部宏一副会長より開会の辞がありました。遠藤浩会長より挨拶があり、「多くの会員、また外部より多数の参加ありがとうございます。摂食嚥下障害の臨床について飲み込みやすいようにご教授お願いします。」と述べました。

講師の鈴木拓君

講師の鈴木君

「摂食嚥下障害の臨床に歯科として貢献できること」の演題で本会会員である鈴木拓君より講演がありました。はじめに昨年8月より運用している情報共有アプリ“OISHIEN”の紹介があり、摂食嚥下障害患者対応の概要について述べました。摂食嚥下障害には脳血管疾患などによる機能的障害、頭頸部腫瘍や食道腫瘍の術後の器質的な問題により食塊の移送ができない器質的障害、その他、加齢や口腔乾燥、味覚障害などによるものがあり、摂食嚥下障害の原因疾患や症状は様々であり同一疾患であっても必ずしも同じ症状を示すとは限らず、個々の症例ごとに病態を把握することが必要と述べました。次に動画を用いて嚥下内視鏡検査や嚥下造影検査について説明があり、歯ブラシやスポンジブラシできれいにすることで口腔内細菌を減らす器質的口腔ケアや口腔刺激により口腔機能の維持や改善を図る機能的口腔ケア、口腔剥離上皮膜が剥がれ落ちることにより食塊流入経路や喉頭蓋等の摂食嚥下関連機関の正常な運動を妨げることがあるため、口腔剥離上皮膜の除去といった口腔ケアが期待されると述べました。次に義歯と摂食嚥下との関係について触れ、全部床義歯を装着することで上下顎間の咬合支持の回復、舌と調和した固有口腔形態の回復により嚥下関連筋群の安定化や凝集性とぬれ性が高い食塊形成につながり、安全な嚥下運動につながると述べました。また、誤嚥性肺炎で入院中の患者の生存群では義歯が使える方が多く、非生存群は義歯が使える方が非常に少ないことから、生命予後の指標になることを述べました。質疑応答では米歯学術史上多数の質問があり、摂食嚥下障害への関心の高さが伺えました。最後に渡部副会長の開会の辞で終了しました。