~多職種連携のための新たな医療連携ツールについての情報を共有~
平成31年3月11日(月)午後6時30分より、米沢市医師会館講堂において在宅医療連携システム検討委員会が開催されました。参加対象は、本会・米沢市医師会・米沢市薬剤師会・訪問看護師。小林正義米沢市医師会会長が挨拶で「在宅医療連携の新システムを検討し、医療連携システムをさらにより良いものにしていきたい。」との挨拶がなされました。
平成24年から山形県医療連携ネットワークシステム構築事業として米沢市ではかかりつけ医と訪問看護師が患者情報をIT機器に入力し、かかりつけ医の指示を迅速に受けられるよう連携体制を構築してきました。平成27年度からは歯科医師、薬剤師も参画し、メールや画像転送を行える端末を利用した訪問診療システムの構築と推進を図ってきた。しかし、現行の在宅医療連携システムに問題が生じてきたことから新システムへの移行が検討されました。問題点として①現在の在宅医療連携システム導入時には潤沢な補助が下りたが、今後は会議費程度の補助のみしか期待できず高額な維持管理費には利用できないこと、②ソフトとしてファイルメーカーを利用しており、端末であるipadのiOSをバージョンアップするとファイルメーカーが使えなくなってしまうこと、③2023年に現行バージョンのサポートが終了すること等の理由が挙げられます。
(株)ニューメディア原敏之課長から新規導入が検討されている医療連携ツールMCS(メディカルケアステーション)について説明がなされました。MCSは、医療介護専用に開発された完全非公開型SNSであり、既存のipad・パソコン・その他の端末でも利用が可能であり、多職種連携のためのコミュニケーションツールとして自由にテーマを決めてグループが作成可能であるといいます。これにより、施設を越えて患者情報の共有が可能となります。また、初期設定費用、月額費用ともに無料で、採用実績も全国200以上の地区医師会等で正式採用されています。実際に試用した関係者の感想として「使用法が簡便であり、SNSのFacebookのように患者情報を閲覧した関係者の確認が簡単にでき、在宅医療に関わっている関係者の間で顔の見える関係づくりが期待できる」とのコメントが寄せられました。
続いて同じく原課長より、平成30年度山形県在宅医療推進事業の米沢市での端末利用実績報告がなされました。平成28年12月から平成31年2月までの2年3ヶ月間の累計で1335件、平成30年4月から平成31年2月までの直近11ヵ月では、255件の利用実績がありました。そのほとんどか、看護士から医師への報告が多かったといいます。なお、歯科医師の利用実績は2年3ヶ月で5件にとどまっています。今後はMCSの利用で、看護師と医師との間だけでのコミュニケーションだけでなく、グループに招待されたメンバーとも情報が共有でき、医療連携が図られやすくなると思われる、との報告がなされました。
続いて今年度の事業を振り返り、1月に実地研修会が開催されたこと、2月に米沢市多職種連携カンファレンスが実施されたこと、米沢市医師会によって在宅ケア連携ノートが作成され、今後より使いやすい充実したものにしていく予定であること等が報告されました。最後に、在宅医療連携で貸し出しされているipad使用の不具合等に対する相談会も開催されました。
在宅医療の患者情報をMCS等で共有することは重要だが、顔の見える付き合いが今後の医療連携には必要と考えられます。そこで本会では5月にケアマネージャーとの懇談会を企画しています。