米沢市歯科医師会

医科歯科連携の会 in 米沢

初開催の事業 今後の連携に期待

令和3年6月18日(金)午後6時30分より「米沢市医師会館」講堂にて、アストラゼネガ株式会社主催「医科歯科連携の会in米沢」が開催されました。同時にWeb配信(Zoom)によるハイブリット形式で行われました。さの医院、佐野隆一院長が総合司会を務め、はじめに「糖尿病治療と歯科治療の関係」の演題で公立置賜総合病院内科(代謝・内分泌)の江口英行副院長による講演が行われました。糖尿病が歯周病に及ぼす影響として1型糖尿病患者では若年者の健常人に比べ歯周病の発症率が高く、2型糖尿病はHbA1cが6.5%以上になると歯周病の進行リスクが高まります。糖尿病治療により歯周組織の炎症は改善することがあります。一方歯周病が糖尿病に及ぼす影響として歯周病は慢性炎症として血糖コントロールに影響を及ぼすことが疫学的に示されており、2型糖尿病では歯周治療により血糖値が改善する可能性があると述べました。また近年の糖尿病治療において使用頻度が増えている経口血糖降下薬の傾向と特徴、使用頻度に触れ、以前よりも血糖値を下げやすくなったが、血糖値を下げ過ぎると突然死、認知症などの問題があり低血糖にも注意が必要です。高血糖でも認知症が増えるため、血糖値の変動を安定させ合併症を抑えることが重要と述べました。

講演会の様子続いて「歯周病と糖尿病の関係」の演題で鈴木基本会会長による講演が行われました。はじめに重症歯周病の症例をあげ、炎症性サイトカインが継続してつくられ歯周ポケットから血管を通して全身に影響を及ぼすと述べました。歯周組織の炎症の指標に歯周ポケット検査があるが、歯が28本あり、全歯周ポケットが5mmの場合、その総面積は手のひら(72平方cm)ほどの大きさとなり、これだけの慢性炎症があるのは問題です。とくに2型糖尿病と歯周病は生活習慣という共通の原因があり、生活習慣を見直すことは歯周病だけでなく、糖尿病の改善にもつながると述べました。講演後、ディスカッションが行われ、情報を共有しスムーズに連携できるよう糖尿病連携手帳の記入や、診療情報提供依頼の活用が挙げられました。

歯科診療の際、口腔内所見から糖尿病を疑う方は多いです。歯周病も糖尿病も初期の段階から患者さん自身が無自覚であることが多く、歯周病を初期から予防することが糖尿病の予防にもつながります。初開催の医科歯科連携の会でしたが、より連携が深まるよう次の開催にも期待したいです。