米沢市歯科医師会

令和元年度置賜地区摂食嚥下勉強会

三條祐介君、凱旋講演! 力を合わせて口腔機能管理を!

令和元年9月24日(火)6時30分より、米沢市医師会館で令和元年度置賜地区摂食嚥下勉強会が開催され、医師、歯科医師、看護師、管理栄養士、言語聴覚士、理学療法士、ケアマネージャー、介護職等、多くの医療職が参加しました。東京歯科大学オーラルメディシン・口腔外科学講座に13年間在籍し、摂食嚥下障害の治療や研究を重ねてきた本会会員の三條祐介君が「地域の多職種で取り組む口腔健康管理」と題して講演を行いました。冒頭で、歯科医療は1.「治療」とともに「予防・管理」する、2.「口腔衛生」だけでなく「口腔機能」も管理する、3.口腔に関わる「医科歯科連携」「病診連携」「多職種連携」「チーム医療」を行うように変革してきており、歯科医療は多職種と連携し口腔健康管理を行う時代に移行していると指摘しました。

本会会員 三條祐介君

本会会員 三條祐介君

東京歯科大学市川総合病院の統計では誤嚥性肺炎患者の4人に1人が死亡しているとし、非経口患者の方が誤嚥性肺炎再発率が高いというデータを示して、経口摂取を可能にすることが誤嚥性肺炎予防の手段であると述べました。そして、完全側臥位で経口摂取させる完全側臥位嚥下法を応用することで、誤嚥性肺炎の再発を少なくすることが期待できるのではないかと述べました。また、近年注目されてきている口腔機能の低下(オーラルフレイル)が全身のフレイルに関与しているため、オーラルフレイルを早期に発見し、機能低下に陥る前に対応することが重要であるとも述べました。今後、置賜地区でも医療や介護など多職種の方々に認知してもらい、オーラルフレイル予防に一緒に取り組むことが望まれると強調し、大きな拍手の中で講演を終えました。

 

続いて、三友堂リハビリテーションセンター歯科衛生士の川俣美和先生が「高齢者の口腔ケアの重要性」と題して講演を行いました。高齢者においては、様々な全身疾患を有している場合も多いうえに、歯周疾患の罹患率も高いため、口腔衛生管理を徹底する必要があるが、高齢者は身体的な老化だけでなく、認知機能の低下や心理的変化から、口腔内に問題があっても口腔衛生指導や治療に協力的でなくなることがある。そこで、三友堂リハビリテーションセンターでは様々な工夫をして、高齢者を中心とした入院患者の口腔ケアを行っていることを紹介しました。また、入院してから口腔ケアを始めるのでは十分な効果を上げにくいため、日頃から継続的なセルフケアの習慣化と定期的な歯科受診が非常に重要であると強調しました。

どちらの講演も、置賜地区における今後の高齢者医療、介護、福祉にとって非常に重要な内容であり、病診連携、多職種連携の重要性、医科や介護分野における歯科関与の必要性が示され、極めて有意義な講演会となりました。